こんにちは。サンチョです!
チャドウィック・ボーズマンさん最後の主演作、『21ブリッジ』を観てきました!
制作がルッソ兄弟、そして主演が『ブラックパンサー』のチャドウィックさんということもあり、マーベル映画を観ている人で観に行く人は多いではないですかね?私もそのクチです!
犯人を閉じ込めるためにマンハッタン島を完全封鎖…。日本でいえば『踊る大捜査線シリーズ』の『レニンボーブリッジを封鎖せよ』に近いんのでしょうが、こっちは早々に21カ所をちゃんと封鎖しています。不便さでいうと新宿とか東京駅周辺とかに入れなくなるイメージなんですかね?
アメリカについてそこまで詳しくないので実感が湧かないのが悔しいです…。
メインとなる登場人物がそこまで多くないため、覚えることが少なくとても見やすかったです。おかげで観ながら「あ、こういう展開ってことはあのシーンは伏線だったんだな!」と気が付くことが出来て置いていかれずに済みました!
この記事は『21ブリッジ』のネタバレが含まれます。
未鑑賞の方はお気をつけ下さい。
『21ブリッジ』 基本情報
原題は『21 Bridges』。
2021年4月9日に日本公開のチャドウィック・ボーズマン最後の主演作。
アメリカでの公開日は2019年11月22日。
あらすじ
ある殉職した警官の葬儀。悲しみに満ちた教会で、その息子である13歳の少年は涙を流しながら、神父の言葉を胸に刻み込んでいた。 「良心に従うこと。善悪の判断を他人に左右されないこと。この残酷な世界で、正しい道を歩むことを」。 19年後。かつての少年、アンドレ・デイビス刑事(チャドウィック・ボーズマン)は、ニューヨーク市警(NYPD)の殺人課で忙しい日々を過ごしていた。彼は優秀な刑事だったが、同時に問題視される存在でもあった。容赦ない捜査で知られる彼は、過去に警察官を殺した犯人を射殺したことで、同僚たちからも距離を置かれていたのだ。内務調査では、職務で発砲に及んだ正当性を追及されるが、アンドレは「正義の代価だ」と主張する。 アンドレの自宅には、尊敬する亡き父親の遺影が大切に飾ってある。年老いた母親は、最愛の夫を突然奪われた痛手をずっと引きずっている。アンドレは素晴らしい刑事だった父親に追いつこうと必死だった。 そんな折、午前0時13分 真夜中のニューヨークで事件が発生する。退役軍人のマイケル(ステファン・ジェームス)とレイ(テイラー・キッチュ)は、ブルックリンの店のワイナリーに隠されているコカインを盗み出す仕事を請負っていた。しかしその場にあったのは、彼らが想定していた量の10倍にもなる300キログラムの大量のコカインだった。 「何かおかしい、ヤバすぎる……」と、頭の切れるマイケルは不審に思ったが、その矢先、突然警官隊が突入。激しい銃撃戦となり、慌てたレイは警察官たちを射殺してしまう。マイケルは軽率なレイを怒鳴りつけるが、もはや彼ら強盗2人組は約50キログラムのコカインだけ手にして、その場から逃走するしか道はなかった。 結局、7人の警察官が殺害され、さらに1人が瀕死の重傷。凄惨な事件現場にやってきたアンドレは、犠牲になった仲間たちを見つめる。遺体の中には警察学校の同窓生もいた。 NYPD85分署のマッケナ署長(J・K・シモンズ)は、アンドレに本件の捜査に当たるように命じる。そして優秀でタフな女性、麻薬取締班のフランキー・バーンズ刑事(シエナ・ミラー)とチームを組むことになった。
引用:映画『21ブリッジ』公式サイトより
STAFF/CAST
主演はチャドウィック・ボーズマンさん。この作品も含めて2017年公開の作品からは闘病生活を送りながら撮影していたそうです。迫力あるアクションを闘病生活を送りながら撮影していたと思うと脱帽します。
2016年公開の「キングのメッセージ」では製作総指揮を、今作と2017年公開の「マーシャル 法廷を変えた男」では製作を務めるなど、出演するだけに留まらず活動しています。
登場人物
アンドレ・デイビス
NY市警殺人課の刑事。自身が掲げる「正義」を貫いているが、過去に警察官を殺害した犯人を射殺したことがある。
フランキー・バーンズ
NY市警85分署、麻薬取締班の捜査官。アンドレとバディを組んで犯人を追う。
マイケル・トルヒーリョ
レイと共にワインセラーに強盗に入る。頭が切れ計画の異変にいち早く気が付きつつ逃亡する。
レイ・ジャクソン
武闘派の元軍人。強盗先で警官を8人射殺。マイケルと共に逃亡する。
マット・マッケンナ警部
NY市警85分署署長。部下の敵を討つため、マイケルとレイを追い詰める。
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『21ブリッジ』 ネタバレ感想
印象に残る伏線と見事な視点誘導
「本当の黒幕は誰なのか?」
その答えについてしっかり序盤から伏線を残していて、その伏線も印象に残るように演出されていました。おかげでアンドレと共に真相を追うことができます。
ただこの作品のすばらしい所は、警官の怪しさを序盤に演出しつつも、大きな事件を起こして視聴者の視点を警官からレイとマイケルに移してしていることです!
まず最初の伏線はマイケルとレイが侵入したワインセラーに現れた4人の警官。
異常な量のコカインを保有していたワインセラーにタイミング良く現れた4人の警官に対し、違和感を覚えた方は多いと思います。「ん?こいつらなんでワインセラーに来たんだ?コカインについて知ってる汚職警官か?」と。
しかし視聴者が深く思考する前に銃撃戦となり、問題の4人の警官も含めた7人死亡の大事件が起こったことで注意がレイとマイケルに移ります。
さらにダメ押しでマッケンナ警部が遺族の話をすることで、怪しかった警官に対して「事件に巻き込まれ突然射殺された可哀想な警官」という風に同情的な視点を持った人が多いのではないでしょうか。
現場検証からマンハッタン島の封鎖までテンポよく進行していくことで、警官達の怪しさについて考える暇も出来ず、見事な視点誘導でした。
怪しさが増していく85分署の者達
現場検証の際、マッケンナ警部はアンドレに対し、犯人の殺しを許可するような発言をします。
過激な人物だとは思いましたが、この時は部下を殺された怒りからくる発言だと思っていました。前述した遺族の話もあり、彼は部下思いの人物なのだと。
アンドレとバディを組むことになったバーンズ刑事も麻薬捜査のためと、無理やりの登場ではなく真っ当な理由で登場してきました。だからこそ序盤は彼女を疑う理由はありません。
85分署刑事たちの初動は、犯人を追い詰める意味でも、アンドレや視聴者を騙す意味でも完璧だったと思います。
警官達の怪しさが出てきたのは連絡係であったトリアノ・ブッシュをいきなり射殺したシーン。抵抗もしていないのに尋問なしで容疑者を殺害するのはさすがに違和感がでます。しかしこの時点では、同僚が殺された恨みを晴らすためにそもそも殺す気だったんだろうなと思っていました。
おそらく前述のマッケンナ警部の怒りのシーンが印象に残っていたのでしょう。部下が殺害されたことを嘆く署長の姿に85分署の結束を感じ、85分署全体が仇をとるために動いているのだと認識していました。
ですがアディ邸の襲撃により85分署刑事が黒だと分かります。この時点ではアンドレとバディを組んだバーンズが白か黒かは不明でした。しかしマイケルの追跡中に、彼に対して明らかな殺意を見せていたのバーンズも黒だとわかってしまいます…。
そしてここにきて視聴者からみると序盤の警官の動きの全てが繋がってきます。
ワインセラーに訪れた4人の刑事は「コカイン」の存在を知っていたのだと。
トリアノ・ブッシュを射殺したのも何かを隠蔽するためだと。
そして麻薬捜査官バーンズは外部の人間であるアンドレの監視役としてバディに配置されたのだと。
この作品は基本的に時系列順に撮影されていたそうです。だからこそ、役者達も過去のシーンの何が伏線になるのかがイメージしやすかったのでしょうし、伏線となるシーンはしっかり印象に残るように作られており、観ている私たちも内容を追いやすかったですね。
用語:「85分署」 とは?
アメリカでは連邦、州、市町村、民間団体など、組織ごとに様々な警察組織を設置しています。
とりわけニューヨーク市警察(NYPD)は全米最大の警察組織を擁しており、「分署」と呼ばれるいわゆる所轄署を100以上設置しています。
分署のナンバリングは下記のように設定されているそうです。
・マンハッタン島 … 1 ~ 34分署
・ブロンクス … 40〜52分署
・ブルックリン … 60〜94分署
・クイーンズ … 100〜115分署
・スタテンアイランド … 120〜123分署
(連番通り全ての分署が存在するわけではない)
85分署はブルックリンの所轄署という設定です。マンハッタン島の封鎖が目立つため、現場もマンハッタンだと勘違いされている方もいるかもしれませんが、銃撃戦がおこったワイナリーはブルックリンです。
ちなみに調べてみたところ85分署は存在しないそうです。
下記は参考にしたNYPDの公式ページです。アメリカのサイトのため完全英語ページですがビックリしないで下さい。
分署のページを見るとニューヨークをどのような区分けで整備しているのかもわかり以外と面白いですよ。興味ある方は見てみて下さい。
評価
アクションも派手でカッコよく、伏線の回収も見事な映画でした。視聴者の視点が置いていかれることもない、満足できる映画です。
最後に
チャドウィック・ボーズマンさんは2016年に「ステージ3」の大腸がんと診断されたそうです。
身内が同じく大腸がんを患っていたからこそ、この作品や「ブラックパンサー」におけるパフォーマンスの素晴らしさに驚愕します。間違いなく苦痛もあったでしょうに…。
最後まで役者として素晴らしい作品を作り続けたチャドウィック・ボーズマンさんを心の底から尊敬致します。
そして彼の意思を継ぐであろう『ブラックパンサー2』を楽しみにしています!
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